東京新聞     中日新聞inしずおか     北陸中日新聞     日刊県民福井    中日スポーツ    トーチュウ   

朝夕刊の記事
地域版の記事
ニュース特集
 トヨタの世界
 ライブドア事件
 耐震強度偽装
 米国産牛肉問題
 鳥インフルエンザ
 日朝問題
 イラク情勢
 「この国のみそ」
 中部国際空港
 NEW商品
ハートナビ
なごやデパート情報
特集ライブラリー
東海エリア
    地震情報

天災/人災

特選コラム
社説
中日春秋
夕歩道
編集局デスク
経済人ナウ(口遊録)
世界の街から

アナウンサーによる新聞音読
政治ホットライン
中日懇話会

きょうの運勢
こどもタイムズ
中日産業技術賞
科学
特集
 土曜訪問
 文学館への招待
 ハローペット

ドラゴンズ
グランパス
中ス芸能
トーチュウF1情報
囲碁・将棋

岳人
山ある記投稿欄
大図解
JWN全国新聞
     ニュース網

  北海道新聞
  河北新報
  新潟日報
  神戸新聞
  中国新聞
  西日本新聞
AREA21
中日劇場
中日文化センター
中日料理教室
中日新聞の本
東京新聞の本
思い出新聞
リンク

イチロー杯
   学童野球大会


本社の社告集
本社へのご質問
   お問い合わせ

東海学術奨励会
新聞協会賞受賞
毎日更新求人情報
不動産物件&NEWS
読書ゆうびん
中部の私大情報
三重・街角情報
イベント情報
週末ガイド・旅
暮らし
健康

見学のご案内
中日奨学生制度
新聞広告のご案内
Web広告のご案内



  岐阜

<湖になる古里>第1部(7)

移転先、沈む思い

 「徳山ダムの試験湛(たん)水うんぬんの前に、水資源機構は文殊団地の地盤沈下の問題を早く解決してくれ」。旧徳山村民が移転した五つの団地の一つ、文殊団地(本巣市)の自治会長を務める根尾惣七さん(71)は、いら立ちを抑え切れない。

 同団地では、移転開始三年後の一九八七年ごろから、地盤沈下による家屋損傷が発生。団地を造成した機構は、盛り土をした区域に建つ五十二戸に対し、再移転などの対策をとった。

 だが、機構側が「再移転の必要はない」とした残りの三十一戸についても、五年ほど前からブロック塀のひび割れなど家屋の被害が出始めた。住民側は「土を入れ替えて、地盤沈下がこれ以上起きないようにしてほしい」と訴えたが、機構側は「宅地として耐えられる」と判断。土の入れ替えをせず、家屋の補修費のみを負担することを提案し、住民側の主張とは平行線のままだ。

 昨年七月には同団地自治会の調査で、団地内の公園の地中からコンクリート片などが見つかった。これについても機構側は「沈下に及ぼす影響は小さい」として従来の方針を崩していない。

 「団地のほとんどすべての家で、地盤沈下による被害が出ている」と、根尾さんは訴える。事実、ある住宅では土台のブロックの継ぎ目に長さ約二メートル、幅約一センチのひび割れが入っている。家屋の中でも、風呂場のタイルが割れるといった被害が出ているという。

 地盤沈下が原因と見られる被害は建物以外にも。数年前には、団地内の道路に埋設されていたガス管が破裂し、ガス漏れが発生した。団地内の七十代男性の家では、五年ほど前に自宅敷地内に埋設の水道管が破裂。自費で修復したという。

 一部の住民に再移転を認めた機構側の対応は、もともと同じ文殊団地に住んでいた人々の心に微妙な溝をつくった。

 「残された住人は『なんで私たちだけが』という思いを抱いてしまう」と、山本信次さん(82)。地域の行事でも、再移転した住民と残った住民で自然と固まるようになってしまったという。

 「『お国のためだ』と言われ、住み慣れた故郷を出てきた。この年になってこんなことになるとは」。山本さんはそうつぶやくと、唇をかんだ。

 <地盤沈下問題> 旧徳山村民が移転した5つの集団移転先のうち本巣市の文殊団地と徳山団地で地盤沈下が発生している。文殊団地では52戸に再移転などの対策がとられた。徳山団地では1987年ごろから建物損傷の苦情が出始め、水資源機構は今年1月、85戸に損傷や基礎の傾きがあったと発表。家屋補修や地盤改良工事を行う方針。





ご質問・お問い合わせ - 著作権 - 個人情報 - リンク
Copyright (C) The Chunichi Shimbun, All Rights Reserved.
本ページ内に掲載の記事・写真などの一切の無断転載を禁じます