徳山ダム建設中止を求める会・事務局ホームページ
日本弁護士連合会への要請書
日本弁護士連合会 会長 梶谷 剛 様 2004年11月10日 水源開発問題全国連絡会 共同代表 嶋津暉之・遠藤保男 要 請 書 〜徳山ダム事業実施計画変更における明らかな河川法僭脱につき、 日頃の貴会の活動に心から敬意を表します。 。。 。。 。。 。。 。。 。。 。。 。。 。。 。。 1995年5月、全国に広がる反対の声を押し切って、建設省は長良川河口堰運用開始を強行しました。しかし同時に反対運動の力に押され、「河川法改正」という「証文」も出さざるを得なかったのです。河川官僚は(その官僚的思考の範囲内で)路線転換−河川行政の転換を行いました。 <資料1> 徳山ダム事業実施計画変更に至る事実経過 資料のHPアドレス 04.7.15閣議決定の新徳山ダム事業実施計画の徳山ダム建設事業に関する事業実施計画変更の概要 <資料2> 前提として:河川法及び附則 従来の木曽川水系揖斐川の治水計画−工事実施基本計画 「新洪水調節計画」という治水計画変更 質問主意書と答弁書 <資料3> 木曽川フルプラン部会への「徳山ダムをやめさせる会」意見書の一部 |
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徳山ダム事業実施計画変更に至る事実経過
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前提として:河川法及び附則(みなし河川整備基本方針・みなし河川整備計画) ☆河川法(1997年6月大改正) (河川整備計画) 第十六条の二 河川管理者は、河川整備基本方針に沿つて計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該河川の整備に関する計画(以下「河川整備計画」という。)を定めておかなければならない。 2 河川整備計画は、河川整備基本方針に即し、かつ、公害防止計画が定められている地域に存する河川にあつては当該公害防止計画との調整を図つて、政令で定めるところにより、当該河川の総合的な管理が確保できるように定められなければならない。この場合において、河川管理者は、降雨量、地形、地質その他の事情によりしばしば洪水による災害が発生している区域につき、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置を講ずるように特に配慮しなければならない。 3 河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。 4 河川管理者は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 5 河川管理者は、河川整備計画を定めようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、関係都道府県知事又は関係市町村長の意見を聴かなければならない。 ☆河川法附則(1997年6月4日法律第69号)抄 (河川整備基本方針及び河川整備計画に関する経過措置) 第二条 2 この法律の施行の日以後新法第十六条の二第一項の規定に基づき当該河川の区間について河川整備計画が定められるまでの間においては、この法律の施行の際現に旧法第十六条第一項の規定に基づき当該河川について定められている工事実施基本計画の一部を、政令で定めるところにより、新法第十六条の二第一項の規定に基づき当該河川の区間について定められた河川整備計画とみなす。 従来の木曽川水系揖斐川の治水計画−工事実施基本計画 ☆木曽川水系工事実施基本計画 昭和44年3月:高水計画改定 p4「基本高水量のピーク流量は基準地点万石地点おいて6300m3/secとし、このうち横山ダム等により、2400m3/secを調節して河道への配分を3900m3/sec とする」 <上記の参考資料=工事実施基本計画参考資料(1968.9)> p2「昭和40年9月15日の秋雨前線豪雨による出水は、横山ダムで調節しなかった場合の万石における推定流量は4913m3/Sと、基本高水(4800m3/S)を上廻る記録的なものとなった。また、最近大規模な出水が相次いだ結果、従来の基本高水流量の超過率は1/25と低くなり、木曽川、長良川とくらべて揖斐川の危険性が大きくなった・・・・基準点万石の基本高水流量を6300m3/Sと定め、このうち2400m3/Sを上流未定ダム群により調節し、万石地点の計画高水流量を3900m3/Sと改訂した。」このときに基本高水は31%増大した。 p57「計画降雨量として流域平均年最大2日連続雨量の超過確率1/100の値395mmを対象とする」 p63「表17 揖斐川各ダムの計画高水流量と洪水調節方式」 『徳山/横山(既設)/黒津/一之瀬』の4ダム名及び洪水調節計画容量として『徳山ダム8640万m3、横山ダム1900万m3、黒津ダム2690万m3、一之瀬ダム480万m3』となる旨が明記されている。 ところが、03年9月に情報公開請求手続きにより入手した工実参考資料の同ページは、「黒津」「一之瀬」という固有名詞が黒塗りになっている。 ☆ 1級河川工事実施基本計画 平成6年6月現在=現行工事実施基本計画 p81「既設横山ダムのほか徳山ダム等の上流ダム群により、2400m3/secを調節して河道への配分を3900m3/sec とする」 ☆ 1996年6月の市民団体の会合での上総周平・当時中部地建河川査官の発言 (河川審答申及び河川法改正の趣旨の説明において)「これからは環境重視・住民参加で河川管理を行います。」「今後治水計画を変更するときは、流域住民の皆様に情報を公開し(バックデータも含めて)、十分な議論を尽くします。」 ☆ 徳山ダム審資料等 1995年〜97年の徳山ダム審議会及び96年10月と97年2月の当会主催の「建設省との対話」において、中部地建河川部が説明した「揖斐川の治水計画」は、1997年8月発行のパンフ「人の暮らしをささえる 徳山ダム」(建設省中部地建/水公団中部支社)と異ならない。そのパンフのp9に、「徳山ダムと徳山ダムによる洪水調節効果 約1900m3/s」となっている。 「新洪水調節計画」という治水計画変更 (別紙カラー刷り:04.4.29中部地整資料) 質問主意書と答弁書 ☆ 平成十六年八月五日提出質問第五〇号 徳山ダムおよび木曽川水系水資源開発基本計画に関する質問主意書 提出者:佐藤謙一郎 四 河川法からの逸脱行為及び揖斐川の治水計画について 1 河川法によると、河川整備基本方針及び河川整備計画によって、治水面におけるダムの必要性と規模を定めることと定められている。木曽川水系においては、これらはまだ策定されていない。ところが、新しい木曽川水系フルプラン策定に合わせて、揖斐川の治水計画を実質上策定し、治水面での徳山ダムの必要性と規模を定めてしまった。これは、国土交通省による河川法の定める手続きを逸脱する行為であると思われるが、政府のご認識を伺いたい。 ☆ 衆議院議員佐藤謙一郎君提出徳山ダムおよび木曽川水系水資源開発基本計画に関する質問に対する答弁書(04.9.14受領) 四の1について 河川法の一部を改正する法律(平成九年法律第六十九号。以下「平成九年改正法」という。)附則第二条の規定により、平成九年改正法の施行の際現に平成九年改正法による改正前の河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条第一項の規定に基づいて定められている木曽川水系工事実施基本計画は、平成九年改正法による改正後の河川法第十六条第一項の規定に基づき木曽川水系について定められた河川整備基本方針及び平成九年改正法による改正後の河川法第十六条の二第一項の規定に基づき木曽川水系に係る河川の区間について定められた河川整備計画とみなすこととされている。 なお、本年七月に、独立行政法人水資源機構が行った独立行政法人水資源機構法(平成十四年法律第百八十二号)第十三条の規定に基づく徳山ダム建設事業に関する事業実施計画の変更は、木曽川水系工事実施基本計画の変更を必要とするようなものではない。 |
<資料3> |
<04.5.12第2回木曽川フルプラン部会への「徳山ダムをやめさせる会」意見書の一部> 在間正史(弁護士) 要約
徳山ダム建設中止を求める会・事務局長 近藤ゆり子 1995年、木曽川水系水資源開発基本計画に基づく水源開発施設・長良川河口堰はこの地域及び全国の反対運動を押し切る形で運用が開始されました(1993年のフルプラン全部変更の過ちについては「水資源政策の失敗−長良川河口堰−」参照)。しかし反対運動は、何も生み出さなかったわけではありませんでした。いわば長良川河口堰の運用開始強行の「引き替え」として、河川行政の方向転換を導き、「環境重視・住民参加」をキーワードとする河川法改正に結びつきました。(04年1月16日付け日本弁護士連合会「肱川流域委員会の委員の追加と十分な審議を求める意見書/第2 河川法改正の趣旨と改正法が予定する流域委員会のあり方」参照) |
2004.12.03編集